【完】白い花束~あなたに魅せられて〜
「明日どっちだ?」
それは明日の朝、私のマンションに迎えに行けばいいのか、翔のマンションに迎えに行けばいいのかを問われているわけで
『…わかんない…から、連絡する』
「わかった」
翔も仕事が忙しいわけだし、そりゃずっと一緒にいたいけど、そんなわけにもいかなくて
泊まりたいと思う気持ちと、ゆっくりさせなきゃって思う気持ちが入り混じり、なんだか複雑な気分。
翔には翔の時間があって、いくら私が彼女でもそれは侵せない。
ちょっとそんな事を考えたら、暗い空と暗い気持ちが相まって、なんだか切なくなってしまう。
今日も首からぶら下がるネックレスを握り締めて、流れ行く街並みに視線を向けた。
しとしとと降る雨までもが私の気分をセンチメンタルにさせる。
早く梅雨なんて明けてしまえばいいのに…