【完】白い花束~あなたに魅せられて〜
先生の言葉を右から左に流しながら考える。
泉杏里ちゃんについて。
朝、榎本さんが言った
“やりたい放題”
“思い通りにいかないと機嫌が悪くなる”
果たして昨日そんな感じだったか?
否、そんな感じではなかった。
少し我が儘ではあったけれど、涼に促されて奥の席に行ったし…?
私は機嫌が悪いなんて感じなかった。
それは翔や涼がいたから…?
…わからない。
いくら考えても、私が杏里ちゃんの事なんてわかるわけもなく、机にだらしなく突っ伏す。
答えが一つしかない数学と違って、人の気持ちなんて他人が計れるものじゃない。
不安が渦巻くのは天気のせいか、榎本さんの言葉のせいか…
自分の弱さのせいか。
思わず溜め息が出て、そっと瞼を閉じた。