【完】白い花束~あなたに魅せられて〜
「はい、ごめんねー?」
「翔、いい加減にしろよ」
ぞろぞろと病室に入ってきた3人と、再び入室した眼鏡青年によって、いくら個室だと言えど計7人いるここは、はっきり言って息苦しい。
珠璃は最初に入ってきた彼に宥められて、静かに翔の胸倉から手を離した。
「チッ」
盛大な舌打ちをしたのはもちろん翔で、私を一睨みした後、荒々しくソファーに腰掛ける。
それに倣って他3名も座る。
私の隣には珠璃。
鬼の形相で翔を睨んでいる。
翔も珠璃を睨んで……
いるわけではなく視線はもう窓の外だった。
だから今のうちに聞いてみた。小さい声で。
『…あの、珠璃…』
「ん?」
『クランクイン…は?』
視線は翔に向けたままの珠璃はまだ怒りが収まっていないらしい。
「終わったよ」
さっきの翔の言葉が気になっていた私の疑問に答えてくれたのは、眼鏡青年だった。
「仁菜ちゃん以外のメンバーで終えたって事なのよ〜?」
ゆる〜い喋りをする彼は珠璃を宥めた人で、どこか亜美奈を彷彿させる。
茶髪の長めの前髪から覗く目元のほくろが何とも色っぽい。