【完】白い花束~あなたに魅せられて〜
「はぁーよかったよ。3人がいてくれて。僕だけじゃ翔を止められないからね」
クソマネージャーこと眼鏡青年はちらちらと、不機嫌オーラを放つ翔を見ながらなんとも情けない事を口にした。
…でも私は何も言わない。
いや、言えない。
翔の威圧感をヒシヒシと感じるから。
ドアを殴った時に感じたのは“恐怖感”と“絶望感”
…あの、倒れる前と同じ。
目の前が真っ暗になって足元を掬われるような、感じ…
ぎゅっとシーツを握ったと同時に柔らかい声がこの空気を切り裂いた。
「…あ、仁菜ちゃんにだけ自己紹介すんでないから紹介しとくね」
『…はい』
眼鏡青年はにこりと爽やかな笑みを浮かべて、やっぱり彼等が“Quartet”なんだという事を教えてくれた。
「あの煙草吸ってる茶髪が阿部大河(あべたいが)21歳」
「よろ〜俺プリメーラで仁菜ちゃんの幼なじみ役〜」
ひらひら手を振る色気ムンムンの奴…大河を見て軽く会釈をした。
「で、オレンジ頭が坂井陽斗(さかいはると)17歳」
「俺は可愛い弟役だ!」
陽斗は私のベッドまで来て握手してくれた。
自分で可愛いと言っても許されるであろう陽斗は、なんかちひろに似てる。