【完】白い花束~あなたに魅せられて〜
涼の作ったご飯をリビングで食べながらふと思う。
涼と向かい合ってご飯食べたのはいつぶり?
大概は外だったハズ。
涼のバーだったり、壱成さん達と料亭だったり…
今までこんな風に2人でここで、ご飯を食べた事があったかと。
「どうした」
オムライスをスプーンで掬ったまま、止まった私に訝しげな顔を向けた涼。
『いや…なんか、変な感じだなぁって』
「何がだよ?」
『ここで2人でご飯食べてる事』
言えば涼は「あぁ」呟いて、私の頭に手をポン、添えた。
「ここはお前の家だから、遠慮すんな」
そんな嬉しい言葉を吐く涼に、穏やかに微笑む涼に、胸に込み上げてくる物がある。
それを涼にバレないように視線をオムライスに落とした。
「…俺の妹は泣き虫になったなぁ〜」
へらへら笑いながらも頭をポンポン撫でる手つきは優しくて、“妹”と言う言葉に目に溜まった涙が一筋頬を伝った。