【完】白い花束~あなたに魅せられて〜


『杏里ちゃんが、怖い』



翔を取られてしまうんじゃないか、と。



あのトイレでの杏里ちゃんは少なくとも本気だった。



何をするかわからないと言った杏里ちゃんの目は真剣だった。



自分が何かをされる。
もちろんそれも怖い



―だけど



それ以上に







翔が私の元から去ってしまうのが、怖い。







『翔を信じてないわけじゃないの』



多分私は翔がいなくなったらもうダメな気がするから。



だからなのか



『ただ漠然とした恐怖がある』



拭えない。
信じる気持ちに纏わりつく恐怖心。


< 333 / 410 >

この作品をシェア

pagetop