【完】白い花束~あなたに魅せられて〜
『杏里ちゃんが、怖い』
翔を取られてしまうんじゃないか、と。
あのトイレでの杏里ちゃんは少なくとも本気だった。
何をするかわからないと言った杏里ちゃんの目は真剣だった。
自分が何かをされる。
もちろんそれも怖い
―だけど
それ以上に
翔が私の元から去ってしまうのが、怖い。
『翔を信じてないわけじゃないの』
多分私は翔がいなくなったらもうダメな気がするから。
だからなのか
『ただ漠然とした恐怖がある』
拭えない。
信じる気持ちに纏わりつく恐怖心。