【完】白い花束~あなたに魅せられて〜
「顔暗くなってんぞ」
TVから私に視線を戻した涼が、ふぅー紫煙を吐き出しバカにした様に笑う。
『…………』
うるさい。
暗くもなるわ。
何故私は涼から、翔がほかの女の子といる事を、知らされなければならないのか…
今私は目つきが悪い。
涼に「話は最後まで聞けや、ボケ」言われれば、機嫌も悪くなるだろう。
「翔は、杏里とまともな会話すらしねぇよ」
『…………、』
「つか、目すら合わせてねぇ」
『……な、んで?』
「いない様に扱うんだよ」
“あの小うるさい女を”と続けた涼は、私をニヤニヤとした表情で見つめてくる。
いない様に、って…
昨日は普通に話して、いた…ハズ。
「昨日のはマシな方だ。お前にあんなバッサリ行く所見られたくなかったんだろ」
『……』
「だから仁菜は余裕で安心しとけよ。翔は仁菜以外眼中にねぇよ」
『…うん、翔にも言われた』