【完】白い花束~あなたに魅せられて〜
ロケは榎本さんの言った通りグルメロケで、少食の私にはちょっと…いやかなりキツいロケとなった。
国際通りでソーキソバを食べ、お土産店の人気商品とやらをちまちま食べた挙げ句、ステーキを食べると言う私にとってはハードなものだった。
『…………う゛〜』
「ほらみろ。お前やっぱアイスなんか食わなくて正解だろうが」
ホテルのベッドに突っ伏す私の背中をさすりながら、ぶつぶつ毒を吐く榎本さんに今は何も言えない。
確かにアイスを食べていたら、今以上に気分が悪かっただろう。
『……榎本、さん』
「あ゛?」
『…………み…ず』
「俺はお前の彼氏じゃねーんだよ」
はぁっとため息を吐きながらも、テーブルに置いてあるペッドボトルを取ってくれた。
なんだかんだで優しいんだと思う。
それを受け取り上体を起こして飲んだ後、再びベッドに突っ伏した。
今、午後6時。
まだまだ明るい時間。
カーテンの隙間からは日差しが差し込んでいて……暑そうだ。
大河はロケ後1人フラリと、どこかに消えた。
…どこが榎本さんに気を遣う、だ。
滅茶苦茶自由じゃんか。