【完】白い花束~あなたに魅せられて〜
「お前、」
『……何?』
「いや、なんでもねぇ…」
『……な、に…?』
なんでそんな顔してんの?
困ったみたいな、怒ったみたいな表情の榎本さんは、再び私の背中をさすりながら窓の外に視線を向けていた。
……どうしたの、だろうか…?
『榎本さん』
「あ」
『…ごめんね』
「………は?」
榎本さんは怪訝な表情で私の顔を覗き込む。
え…?
『あ、っと…呆れてるんじゃないの…?』
私のこの状態に。
この有り様に。
「呆れてねーよ」
『え?』
「お前無理して食ったんだろ?仁菜が少食だって事は知ってんだよ」
『………』
「そういう奴は嫌いじゃねぇ」
「塩ソフトのくだりがなければもっと良かったけどな」続けて私の頭を軽く小突いた榎本さん。
だったらその表情は何だったの。
…疑問に思いながらも、わざわざ怒られる事もないと思いながら『そう』呟いた。