【完】白い花束~あなたに魅せられて〜
大河は榎本さんに叩かれたらしくて、頭を押さえて榎本さんを見上げる。
「朝だ、さっさと起きろ」
冷めた目で大河を見下ろし、低い声で言い放つ。
うん、怖い。
榎本さん怖いよ…
それは大河も同じだったらしく、シャッキリ起き上がった彼はそのまま「荷支度して来ます!」すごい勢いで部屋を出て行った。
『…………』
「…大丈夫か?」
『え、はぁ…大丈夫、です』
榎本さんの問いかけにきょとんとした表情を浮かべるしかない。
そんな彼は「俺も用意して来る。8時にロビーな」言って部屋を出て行ってしまった。
パタンと閉まった扉。
部屋には、飲み散らかした空きビンと空き缶。
それを拾って、帰る準備をする。
…早く翔に逢いたい。
ペンダントを握って、瞳を閉じた。