【完】白い花束~あなたに魅せられて〜
エモーション
羽田空港に着いたのは既に1時を過ぎた時で、そのままそこで大河とは別れた。
大河は自分の車で空港に来たらしく、その車に乗って私も翔に会いに行きたかった。
だけど今はマスコミだらけで無理らしいと、榎本さんに言われれば諦めるしかない。
空港から直で事務所に行き、私を送り届けた榎本さんは「夕方から雑誌の撮影だから」言って、入れ替わりの様に亜美奈をどこかに送りに行ってしまった。
亜美奈は特に何も言わなかったけれど「おかえり」と優しく微笑んでくれたけど。
知らないわけが、ない。
絶対に耳に入っているのに、私に言わないのは亜美奈の優しさなんだろう。
事務所のドアを開ければ、珍しく誰もいない。
いつもの黒いソファーに腰を下ろし、ガミさんのデスクに視線を向ける。
乱雑に散らかった書類がデスクを占領する。
その中にはあの週刊誌も置いてあった。
…やっぱり知ってるんだ。
ふぅ、息を吐き出し目を瞑る。