【完】白い花束~あなたに魅せられて〜
いくら寝てないからって、寝過ぎだよ、私…
あぁ…
気付けばもう夕方だ。
7月上旬だからまだ全然日は落ちてないけど、時計は5時を指していた。
杏里ちゃんとの事とか考えて、もやもやしながら待つのもどうかと思うけど…あんな状況で爆睡する私って、どうなの?
まだ覚醒しきっていない頭をフルフルと振り、ソファーに掛けてあるパーカーを羽織った。
「大丈夫?」
『…大丈夫』
ガミさんが素早くカフェオレを差し出すから、それを手にしてドアへと歩く。
“大丈夫”の意味がどれを指すのかはわからないけど、とりあえずは、大丈夫。
爆睡しちゃうくらいだから、大丈夫なんだと思いたい。
「大和、翔を殴ったらしい」
朱璃はいつもの様にソファーに座りテーブルに足を投げ出し、ニヤリ笑って言うから…
亜美菜も優しく微笑んで、手を振るから…
優しい人達に恵まれたな、と。
温かい場所だ、と。
思い知らされて、私は『ありがとう』呟いた。
チカリ光る携帯を開けば、翔からで“今日終わったら行くから”メールが入っていた。
それに“わかった。私は今から雑誌の撮影したら終わりだから”と送って、榎本さんの待つ駐車場へと向かった。