【完】白い花束~あなたに魅せられて〜
そもそも、だ。
翔は私に何も相談してくれていない。
…いや、相談されたからって私が解決できるわけじゃないんだけど。
私よりも榎本さんの方が知っていて悔しくなる。
そりゃ私は翔より年下だし、気の利いた言葉を与える事もできないし、ましてやアドバイスなんてできないよ。
でも…私に言ってくれてもいいと思う
杏里ちゃんとの事を聞きたいからとかじゃない。
私が翔にとってその程度の存在なのか、って思ってしまう。
何も知らないで彼女なのって。
『私って頼りない…』
「…あ?」
頼りがいはなくても、悩みを聞くくらいは私でも…できるんだよ。
ギュッと手に力を込める。
ネイルが手のひらに食い込んで痛いけど、私の心はそれ以上に痛い。
なんか、情けなくて…
「…お前ね、翔が何で言わなかったかわからないのか?」
…わからないよ。
私は翔じゃないんだから。
はぁなんてため息はかないでよ。
困らせるばかりの私が悪いって思えてならないから。