【完】白い花束~あなたに魅せられて〜
『私はどんな翔も好きだから。
例え情けなくても、頼りなくても、ダサくても“翔”だから好きなんだよ』
いつか言われた言葉と同じ様な言葉を投げる。
だからありのままでいて、と。
ありのままを私に見せて、と。
繋がった手を握り、言葉を落とす。
伝わればいい。
伝わって欲しい。
これが、私の気持ち。
思いを口にするのは、簡単な事じゃない。
自分の気持ちを相手に伝えるのは、とても難しい事。
だけど口にしないと伝わらないから…
視線を手に向けて、目を瞑った。
「ごめんな、仁菜」
私の手をギュッと握り返した翔に、手に向けていた視線を上げる。
翔は言葉とは裏腹に優しく微笑んでいて、繋がった手を引いて強く私を抱きしめた。
『……翔?』
「ごめん、俺…泉の事は、本当に油断してたんだ」
ポツリポツリ話し出した翔の腕の中で、私は耳を傾けていた。