【完】白い花束~あなたに魅せられて〜


「プライベートで会えば、バッサリ切ってた」



…それは涼が言ってたやつだよね?
まさか涼から聞いたなんて言えなくて、無言で先を促す。



「冷たくしてれば泉もいつかは諦めるだろうって…思ってた。
だけど泉は諦めてなんかなくて、あの日講師と3人で食事したら諦めるって言うから…俺、最低だけどそれならって…行ったんだよ」



『……』



「帰りに気分悪いって言い出した泉を介抱しようとしたら…いきなり抱きついてきて、された。写真も撮られた事気付かずにマジバカだよ、俺」



ハッ乾いた自嘲的な笑みを漏らす翔に、何を言えばいいかわからなくなる。



ただ背中に回した手を、トントンと叩いていた。



「泉のヤツ、発売間際まで伏せてたんだよ。それで社長には散々根掘り葉堀り聞かれるし、泉の両親からは責任取れって言われるし…」



“仁菜にまで迷惑かけてごめんな”



呟く翔に首を左右に振った。



翔が悪いわけじゃない。
そんな方法で翔を手に入れようとするなんて…杏里ちゃんは間違ってる。



そんな事をしても、翔の心は手に入らない。



「だから言ったんだ」


『…何を?』


「俺、彼女いるからって。
向こうは納得してなかったみたいだけど、社長には泉の事も仁菜の事も全部話したから信じてくれた。仁菜との事については、藤村や大和と陽斗が証言してくれたしね」



私の頭を撫でながら“良かった?”確認してくるから、コクコクと頷く。


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