【完】白い花束~あなたに魅せられて〜
「で、結局事務所同士は険悪。
演技指導の講師の契約も切れたわけ」
その言葉でハッとする。
『しょっ翔!』
「ん?」
『榎本さんが演技指導OKって言ってたよ!』
確かに言ってた。偉そうに言ってた。
翔の腕からガバリ離れて言えば、翔はここで初めて笑顔を見せた。
その笑顔を見てカッコいいななんて思う私は、もう末期。
翔に溺れてる。
『…前も言ったけど、榎本さんスパルタだからね?』
「わかってる。つかアイツがそうじゃなかったら逆にキモイだろ。優しくなんて想像できねーよ」
ここにきてやっとテーブルに置いたビールを開けて、飲みだした翔。
随分時間が経ったからか、その缶には大量の水滴が。
もちろん私のカフェオレにも水滴がついてて、持っただけで手にベチャリ、水滴がついてしまった。