【完】白い花束~あなたに魅せられて〜
Quartetがデビューするのは、ドラマが始まる1週間前らしい。
つまりはもうすぐデビューするわけで、ドラマの撮影にデビュー曲の御披露目やらダンスやら大忙しらしいQuartetは、4人現場に揃うことがなかなかない。
まぁ、その点はNASも同じなんだけどね。
「おはようございま〜す」
『…あ、大河おはよう』
現場で翔扮する“拓海”と亜美奈扮する“美樹”のド修羅場のシーンを見ていたら大河が飄々と現れた。
黒で統一された大河の服装は大人っぽい。
こんな大人っぽい大河でも制服を着たらちゃんと17歳に見えたりする。
大河とはQuartetの中で一番話すかもしれない。
私の幼なじみ役で“拓海”の次に同じシーンが多いからだと思う。
「亜美奈さんすげぇマシになったなぁ〜初めは大根なんてもんじゃなかったもんなぁ?」
笑顔で辛辣な事を言う毒舌王大河。
『…亜美奈は演技ができないんじゃなくて、セリフが覚えられないだけだよ』
「お前はそんな虫も殺さぬ顔してひでぇな?」
…女を食い散らかす奴に言われたくないね。
大河の“ソッチ関係”の話は噂話に興味のない私にまで届いていた。
『…女泣かせが』
「確かに鳴かせるのは得意だね〜」
『……意味違うし』