【完】白い花束~あなたに魅せられて〜
エゴイストな彼女
それから数日後。
私は歌番組の撮影があり、控え室にいた。
「…で?その後は?」
『その後…?』
「バッカ!翔、社長に呼び出されたんだろ?」
何で知ってんの。
冷房ガンガンにも関わらず、センスでパタパタと扇ぐ朱璃に言われた言葉を聞くやいなや、ガミさんをギロリ睨みつけてやった。
絶対にガミさんが言ったに違いない。
私の隣にいた榎本さんは「マジかよ?」心底面白そうな顔をしている。
ガミさんは私からスルリと視線を逸らせ、吹けもしない口笛を吹く。
スフュゥー
その歪な音が控え室に響き渡った。
…バカだ。
「まぁさ、千夏ちゃんも心配してたんだよぉ〜“パパがキレた”ってねぇ〜」
ふふふ、朗らかな笑みを携え、隅で固まるガミさんの頭をちょんちょんとつつく亜美奈。
そんな亜美奈に「亜美奈だけがわかってくれるッ!」ガミさんは泣きついていた。
なんだこのふざけたコントは。
「…で?結局はどーだったんだ?そのお呼びだし」
『別に何もなかったよ』
榎本さんは翔が壱成さんにこっぴどく叱られたと思ってるのかも知れないけど、そんな事は一切なかったわけで。
素直にそう告げても、彼は信じていない様子だった。