【完】白い花束~あなたに魅せられて〜
杏里ちゃんは、全てにおいて間違ってる。
翔との週刊誌の事もそうだし、今もそう。
我が儘だと榎本さんは言っていたけれど、これは我が儘じゃない。
エゴだ。
「仁菜さん…翔君と別れてくれるよね?」
『…別れない』
「え…?」
『私は、翔とは別れない。…ねぇ、杏里ちゃん。こんなの間違ってるよ。こんな事しても翔は手に入らないよ』
だからお願い。
こんな事はもうやめて。
人工的な光は私と杏里ちゃんを照らしていて、小さな影が2つ部屋には伸びる。
縛られた手足は動けないから、目だけで彼女を見据える。
気付いて。間違いに。
こんな事に意味はないって。
「っ!アタシバラすから!仁菜さんが年齢詐称してる事!!!そしたら芸能界にいられなくなるんだからっ!」