【完】白い花束~あなたに魅せられて〜
「………あれ」
そう言って顎でしゃくて指したのは、大河の隣にちゃっかり座る亜美奈。
緩い同士お話が合うのかもしれない。
語尾が〜ってやけに間延びしていた2人の周りだけ、あそこだけ春だよ。
冬なのにね?
「…仁菜」
『…なに?』
腕を組んで目を瞑った翔は寝るらしい。
どうやらお疲れのご様子。
「………悪かった」
『…は?』
“あぁコイツ寝るんだ。確かに忙しそうだもんね”なんて考えてた私は思わず聞き返した。
と、いうか私こそ疲れていて空耳が聞こえたようだった。
「この前は悪かった、な」
閉じた瞳をゆっくりと開いて、確実に私の視線とぶつかった翔はそう口にした。
『………』
「物に当たって威嚇して。お前びびって声、出せなかったんだろ?珠璃に言われたんだよ…」
『……な、に…を…?』
思考が回らない。
見つめる翔の瞳には困惑した顔の自分が見えた。
え、翔初めて会った日のこと謝ってる?
…珠璃に言われたって何を?
「まぁ、俺も大人気なかったっつーかお前年下なのに、な…」
頭をガシガシ掻いた翔は再び瞳を閉じて、今度こそ眠りについた。
『……』
戸惑ったままの私を放置して。