【完】白い花束~あなたに魅せられて〜
『…もう帰るよガミさん』
私を揺さぶる手を振りほどいて、翔と手を繋いで廊下を歩く。
後ろでは「仁菜!?」ガミさんの声が聞こえる。
「…お前、本当にいいのか?」
『…榎本さん』
後ろから着いてきていた榎本さんが、私の隣に来て問いかける。
いいも悪いも…
『芸能人が問題起こしたら、普通以上に騒がれるの知ってるでしょう?それに私は別に何も失ったりしてないんだからいーじゃない』
「…やっぱりお人好しだな」
呆れを含んだ声色で呟いた榎本さんは「車取ってくるから」言って私達より先に廊下を歩いて行ってしまった。
「……本当にいいのか?」
2人で歩く廊下に翔の声だけが響く。