【完】白い花束~あなたに魅せられて〜
私達はただ恋をしただけ。
人は間違った道を選ぶ事がある。
杏里ちゃんは確かにやり方を間違っていた。
だけど大事なのは、その間違いに気付くかどうかだと思う。
だから…
『もう、いいの』
「…そうか」
好きな相手が自分を好きな事は奇跡に近い。
だったらその事実に感謝しよう。
『…翔』
「……ん?」
『髪が短くなっても好きでいてね?』
「バーカ」
ビルから出れば真夏の夜空が広がり、月明かりだけが私達を照らす。
『………好き』
「あぁ、俺も」
繋いだ手をぎゅっと握り締めて呟いた翔に、やっぱり私は溺れているんだ。
私の唯一無二の存在。