【完】白い花束~あなたに魅せられて〜
え?
なにこの放置プレイ。
私どうしたらいいわけ。
いきなりいい人にならないでよ。
私の中で翔はもう苦手な奴の位置だったのに。
『…………』
なんか調子狂う…
ふと右隣を見ればもう夢の世界に旅立ったらしい翔。
スースー言ってますけど。
寝顔は可愛いんだな…と思っていた矢先、奴の頭が私の肩にもたれ掛かってきた。
…なんだこの状況。
なんか左隣の2人は、犬のどこがいかに可愛いかを熱く語ってるけど…私もそれに参加するべきだろうか…?
…犬より猫だよ!とか言えば話に混ぜてもらえるんだろうか…
視線で訴えてみても、左の彼は私に背中を向けていらっしゃる。
その向こうにいるだろう亜美奈の姿は見えない。
ただ視界には奴の…大河の広い背中だけ。
『…』
…わからない。
昨日までなら確実に突き飛ばしてたのに、今はそれをしたらいけない気がした。
…翔がいきなり謝罪なんてするから。