【完】白い花束~あなたに魅せられて〜
「…仁菜?」
『…やればいーんでしょ?……やれば』
「…ごめんね」
……あぁ、なんでこんな顔するんだろう。
まるで私が悪いみたいじゃない。
やるって言ったのにそんな申し訳ない顔、しないでよ。
どう反応したらいいかわかんなくなるから。
『………』
「あっ、そうだ!今日仕事終わった後パパが、家に寄れって言ってたよ!」
勢いよく立ち上がったガミさんは三十路にして、普段社長の事をパパと呼ぶ。
明るく振る舞ってるのは、この重い空気を打破しようとしてくれる彼女なりの配慮。
『…社長、ね』
「あ、ごめん今は社長だったね」
一瞬緩んだ表情を私に向けて一気に引き締めた顔つきになる。
…うん。
ガミさんもやっぱ大人だね。