【完】白い花束~あなたに魅せられて〜
『…またね、壱成さん』
料亭の駐車場でガミさんの車と、社長を迎えにきた黒塗りの車を前にそう告げれば
「仁菜っ!」
名前で呼んだ私に、飛びかかってくる勢いで抱きついてこようとした社長を、ガミさんと涼が止めた。
その2人の連携プレーに心の中でほっとしていた私は「ごめんごめん」と呟く社長に苦笑いを浮かべた。
“壱成さん”は私がアイドルとしてデビューする前まで呼んでいた呼び方。
めっきり社長という呼び方に慣れた私は久々の呼び方でちょっと恥ずかしかった。
「…じゃぁ私達は仕事だから。またねパパ」
「…あぁ。気をつけて」
「まぁ、ほどほどに頑張れやー」
私の肩を掴んで車に歩いていくガミさんと私は、それぞれの言葉を掛けた2人とそこで別れた。