【完】白い花束~あなたに魅せられて〜
Aスタジオのセット。
…つまり学校のセットで私と翔は教室に佇む。
「…まずは位置確認なんだから、んな緊張すんなよ」
翔が発したとは思えない優しい言葉は多分、この前の私を見てるから。
『…うん』
私の声はやけに小さかったけれど、翔にはちゃんと聞こえていたみたいで微笑んでくれた。
あの時腕を掴んでいた翔だから、私が震えてたのにも気づいたはず…
『この前はごめん』そう言った私に「何の事だ」と言った翔。
あの日の出来事がなかった事のように接してくれているらしい。
他のみんなも同様の反応だった。
“何故、震えてたのか?”なんて突っ込まれても、なんて言えばいいかわかんないからみんなには感謝してるし、ありがたかった。
でも大河だけは「俺も悪かった」とやけに真面目に謝られた。