【完】白い花束~あなたに魅せられて〜
「…結局、それはガセなのよね?」
ガセの中のガセでしょうよ。
さっきの珠璃の話聞いてわかってんでしょ?
しつこく確認してくるガミさんに私はうんざりしながら口を開いた。
『…うん?てかガミさん知ってるでしょ?私がどんな子か』
そう言えばガミさんがどう切り返してくるかわかっている私はまぁ、確信犯。
「…そうね。じゃぁ社長には報告しとくから」
…ほらね、お決まりのセリフを吐くガミさんに『うん』と返せば
「今から仕事でしょ?もう行きなさい」
事務所を半ば強引に追い出された。
『うん。ごめんねガミさん』
「はぁ。しょうがないわよアイドルなんだから」
『うん。年齢詐称してなきゃあんな飲みには行かなかったのにね?』
「………」
何とも言えないガミさんの表情を見てフッと口元を緩める。
『冗談だよ。じゃぁもう行くね?』
「…あぁ!うん。気をつけて!亜美奈が上がったら私も行くからね」
『はいはい』
今度はガミさんの顔を見ずにスタスタと事務所を出た。
目に付いたスキャンダルの雑誌は丸めてゴミ箱にぽいしてあげた。
私はいつまでこの世界にいるのだろうか。
嘘や見栄、お世辞が飛び交うこの輝かしい偽物の世界は、私には何の意味ももたない。
…早くこんな私を終わらせる場所にたどり着けたらいいのに。
アイドルは向いて、ないの。
作り笑いはもう飽きたよ…