【完】白い花束~あなたに魅せられて〜


ちひろが指差す先を目で追えばそこには確かに“プリメーラ”のポスターがあった。



『…別にいつもの事じゃん』


「へ?」



かなり不思議そうな声を上げたちひろは、頭にハテナがいっぱい浮かんでいるようだったから、私はこれが普通である事を教えてあげた。



芸能人が通う学校のここは生徒が主演の映画 ドラマ 舞台などのポスターをカフェ内に飾ってある。



その様はまるで映画館のような感じで、どれも額縁に入れられてある。



だからつまりは貼ってあるわけではない。



飾られる期間はだいたい1、2ヵ月だったか…



常盤学園の理事長が「生徒の作品を形に残す為」とかなんとか言ってたような気が…する。



その説明を聞き終えたちひろは「やっぱ仁菜はすごいね!」と笑顔で言っていたけれど、私にはどこか寂しげに見えた。


< 71 / 410 >

この作品をシェア

pagetop