【完】白い花束~あなたに魅せられて〜
ちひろが指差す先を目で追えばそこには確かに“プリメーラ”のポスターがあった。
『…別にいつもの事じゃん』
「へ?」
かなり不思議そうな声を上げたちひろは、頭にハテナがいっぱい浮かんでいるようだったから、私はこれが普通である事を教えてあげた。
芸能人が通う学校のここは生徒が主演の映画 ドラマ 舞台などのポスターをカフェ内に飾ってある。
その様はまるで映画館のような感じで、どれも額縁に入れられてある。
だからつまりは貼ってあるわけではない。
飾られる期間はだいたい1、2ヵ月だったか…
常盤学園の理事長が「生徒の作品を形に残す為」とかなんとか言ってたような気が…する。
その説明を聞き終えたちひろは「やっぱ仁菜はすごいね!」と笑顔で言っていたけれど、私にはどこか寂しげに見えた。