【完】白い花束~あなたに魅せられて〜
その後気まずかったのか何なのか、ちひろは「私!課題しなきゃいけないんだった」と言い出し教室へと戻って行った。
課題なんてないだろと、思いながら去っていくちひろの後ろ姿を見送った。
「……」
『……』
途端に流れる沈黙。
…いきなり2人きりになってしまった私は、スタジオ以外で会うのは初めてで、何を言えばいいのかも、どうすればいいのかもわからなかった。
「…あー今日、オフ?」
そんな気まずい沈黙を破ったのは腕組みをしながら偉そうに佇む翔だった。
『…そう、だけど』
今更ながらに気付いた。
撮影以外で会った事のない私は、今まで2人きりで話したことがないって事に。
いつも撮影で一緒だったけど、最近の日常として一番一緒にいるのが翔になっていたけれど、それはあくまで芸能人の翔。
仕事のハナシ。
そんなに長時間いたのに私は翔の事何も知らないんだって、今更ながらに気がついたんだ。