【完】白い花束~あなたに魅せられて〜
確信に近い感情でふざけんな、とじと目で睨んでいたが、そんな私には気付く事なく「まぁ頑張れ」となんとも意味不明な言葉を翔に吐いた本田。
それに翔は無言だったけれど「俺ぁまだ仕事が残ってんだ」と慌てて去っていった。
…なんだあの人。
と、いうか変な誤解はやめてほしい。
お陰でコッチはいい迷惑だ。
あの、“ちひろ超勘違い”で私はいらぬ冷や汗を大量にかき、数日に渡ってちひろからメール攻撃にあった。
つらつらとあの日を思い出すと、本田に文句の一つも言いたくなった。
「…おい」
『………』
「おい?」
『………』
「おいって!」
『…あ?』
顔を覗き込んで、なくなっていたカフェオレを未だに口にくわえていた私から、それを抜き取ると軽やかにゴミ箱にINした翔。
「お前聞いてる?」
『……何か?』
はぁとため息を吐く翔には悪いけれど聞いていなかった。
そんな私に呆れたのか、更に深いため溜め息1つ。
そして
「俺、来週の水曜日、暇」
振り出しに戻った。