【完】白い花束~あなたに魅せられて〜
『…だから何か?』
知らないよ。
キミのオフ日なんか。
私はその日朝からお仕事ですが?
「裏店、教えてくれるんだろ?」
緩やかな弧を描いた唇。
その表情で、言葉でやっと翔の言わんとしてる事がわかった。
連れていけと。
『…水曜日朝から仕事』
事実を言った。
嘘は吐いていない。
けれど
「夕方からはオフだろ。お前のマネージャーに聞いた」
バッチリスケジュールバレてた。
…何言っちゃってるんだ。
ガミさん。
勝手に人のスケジュール言っちゃう彼女は三十路にして独身。
目の前の彼にノックアウトしたに違いない。
イケメンに絆(ほだ)されてんじゃぁ、ないよ…
後でガミさんに教育的指導をしてやろう、とガミさんに浴びせる言葉を考えた。
「水曜日夜6時、迎え行く」
『…はい?』
「マンションまで、迎え行くから」
言い逃げした翔に何も言えずにいたのは、ガミさんのせい。
家まで教えるって、プライバシーの欠片もねぇよ。
浴びせる言葉は文句に変更する事にした。