【完】白い花束~あなたに魅せられて〜
「着いた」
宣言通りにキッカリ6時に鳴った携帯から聞こえる無愛想な言葉。
バレるとうざいからマンションで待つようにと昨日告げられ、その通りにしていた私は伊達眼鏡を掛けてロングマフラーを口元にまで持って行く。
黒いPコートにスキニージーンズをチョイスしている私は全く洒落っ気なしだと思う。
その冴えない出で立ちに芸能人オーラは消えていると思われる。
黒のブーティーを履き玄関を出ればマジで寒かった。
あぁ。この寒さに私のチョイスはあながち間違いじゃないと、思いながらエレベーターでエントランスまで降りれば
『…いないじゃん』
そこにいるであろう翔の姿はなかった。
は?なんでと思い電話を掛ければ地下駐車場と一言。
相変わらずの無愛想だったけれど、言われるがままに地下駐車場へと降りた。