【完】白い花束~あなたに魅せられて〜


駐車場に着きキョロキョロとしていた私に聞こえたクラクション。



その音が地下にやけに響いてビクッと肩が跳ねる。



その音を発した車は黒いセダン車だった。
名前まではしらないけれど多分高級車なんだ、というのはやたらと輝く艶でわかってしまう。



近寄れば助手席のウィンドーが開いた。



「乗れよ」



低く囁かれた言葉は助手席だと思っていた運転席に座る翔の物。



どうやらこの車は外車らしい。
…しかも運転手は翔らしい。



言われた通りに乗り込めば鼻を掠めるのはシトラスの香り。
…翔の、香り。



『…免許持ってたんだ』


「俺4月生まれだからなー」



今は1月だから免許取得してもうすぐ1年って事か…
片手で運転する彼からは、あまり運転初心者だと感じられなかった。



「腹減ってねぇか?」


『…大丈夫』



食欲はあまり、ない。
お昼にガミさんに無理やり食べさせられたロケ弁が未だに私の胃には居座っている。



私の答えを聞いた翔はちょっとドライブな、と言ったかと思えばありえない事に高速に乗りやがった。


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