【完】白い花束~あなたに魅せられて〜
ガシャン
途端に店内に響き渡る音。
その音に肩をビクつかせた私からそっと手を離した翔。
音が聞こえた場所…つまりはカウンターに視線を向ければ、明らかに動揺している涼の姿が目に入った。
その視線は私と翔の中間。
多分、私の髪に触れた部分だと思う。
未だにぼーっと突っ立っている涼の近くにいた店員は、涼が割った食器を片している。
「…何だ?」
『…何だろう、ね?』
私と同じ場所に視線を這わせた翔の困惑した声にそう答えれば、やっと涼が「大変お騒がせいたしました」告げ、店の奥に姿を消した。
あぁ、見られたんだ…。
そりゃそうだよね?
そんな反応だよね…?
今まで私に触れた男を見た事がないから、そんな反応なんだよね?
しかも頭に…
よりによって頭に触れた翔に吃驚したんでしょう…?
でもね、私が一番吃驚してるんだよ…
翔に頭を撫でられると安心する事に。