【完】白い花束~あなたに魅せられて〜
暖かくなった部屋のソファーでぼーっとする事数十分。
ガチャリ、ガチャンと鍵と扉の開く音。
まだ12時過ぎだというのに涼はあまりにも早く帰ってきた。
『…店は?』
「あ?あー任せて来た」
開口一番にそう尋ねた私に「他に言うことないのかよ」と言いながら苦笑い。
私は店の経営者が任せて帰って来ちゃう事に苦笑いをしたい。
『…ガミさん、まだ?』
「あー?仕事じゃねぇのか?」
『…ふぅん』
「お前から聞いたくせに素っ気ないな」
ハハッと乾いた笑いを漏らした涼に『別に』と答えれば「まぁその内帰って来んじゃね?」と。
部屋に消えて行った涼はまたすぐにリビングに現れて、その手には着替え。
…どうやらお風呂に入るらしい。
「風呂入ってねーの?」
『…涼が早く帰ってくるから』
じっと見つめていた私に気付いた涼は私に一言。
普通に見てわかると思う。
私服姿のままソファーに座ってるし、化粧もしたままなんだから、私がまだお風呂に入っていない事くらい。
というか、わかれ。
「ふーん。じゃ、お兄様と入る?」
『…入るかバカ』
涼はお兄様じゃないって言ってるでしょう。
ギロリと睨めば「おー怖っ!」肩を竦める涼。
その姿は全然怖がっていない。