制服の中
「あなたが卒業したら、私と一緒にボストンへ行きませんか?」

何度も何度も和訳しなおした。簡単な英文すら訳せなくなるくらい、驚いたから。
からかわれている そう思った。信じられなかった。私の気持ちを察して、単にこのような行為をやめさせるための手段として、思いつきで言ったのだろう。そう解釈させてもらう。
先生から見たら子供で、生徒で、まだ16歳だった私は、大人の女を意識した。

「はいはい行きたいです行ってみたいです」

嬉しさを露骨に出すのも釈然としない。
適当にあしらったつもりだったけれど、きっと笑顔だったのだろう。

私が何か言う前に話題を変えようとした雰囲気だった。
先生は続けて書いた。

「次の試験で90点以上取れたら、ご褒美をあげよう」
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