制服の中
成績は、上げることは難しくても、落とすのは簡単。だから私は逆の発想で、実行した。

下げる事に着眼点を置き、私は中間試験でわざと赤点を取った。
解る所も適当に、あえて間違ってみて提出した。

赤点を取ると、先生と1対1の補習になる。これを逃さない手はない。


先生から見たら、私は普通の生徒だっただろう。
ファンクラブにも属さなかったから、先生を追っかける集団の中に、私の姿はない。
すぐ茶々を入れて、先生をからかったりはした。
ただ、それだけ。
それだけの「ちょっと勉強ができない、すぐ騒ぐ生徒」だっただろう。
私の好意は、絶対にバレているわけがない。そんな自信もあった。

先生に好意があるのは、奈美とモモだけに話した。
2人は「なんかそんな気がした」と、応援してくれるようになる。


補習室と呼ばれる部屋へ入る。
赤点になった問題用紙を手に取り、すぐ置いた。「こんなの、間違えるわけないじゃない」。

本気を出せば8割は取れるような問題だった。
先生の教え方がうまいのかテストが簡単なのか、補習の人数が明らかに減っている中、私は初の補習。
それでも、楽しみでしょうがなかった。
補習なのに、目元をビューラーで立ち上げ、指先の手入れをした。




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