I LOVE YOU ?


一度もない、はずよ。
絶対にない。


言いたいことは隠さず言ってきたし、やりたいことも素直にやってきたの。



頑なに否定するあたしを見て真弓は眉を八の字にしがちに言った。



「カンナは、嫉妬してるんだよ。女の子と遊びまくるスイくんに、カンナだけをちゃんと見ないスイくんに。カンナはそういうスイくんを見るといつも泣きそうになってたじゃん」

「…そんなわけ……」

「じゃあ、今こんなに泣くのを我慢してるのはなんで?」


鏡を前に突き出されて自分の顔を覗く。

眉は若干下がり気味で、眉間にシワが寄ってる。上唇と下唇を噛んでいた。



「知ってた?カンナ」

「…?」


「嘘をついてるときと泣きそうなとき、上唇と下唇を噛む癖があるんだよ、カンナって」


ふふと笑う真弓にあたしは驚いた。


自分でも気付いていない癖を友達が気付いているなんて。


ましてや、普段しないような表情なのに。
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