I LOVE YOU ?
―ガチャリ。
鍵を差し込んで扉を開けると、静まり返るスイの家。
…一応見てしまった玄関にはスイの靴があるくらいで、得に代わり映えはなかった。
何となく、ほっとする。
「…お邪魔します」
靴を脱いで部屋に向かうとキッチンには誰も居なかった。もちろん洗面所にもトイレにも。
出掛けてるのかも、と思ったけどそれはなかった。
いつも履いている黒い革のブーツがあったから。
何となく家にはいる気がした。
だとしたら、残るは自分の、スイの部屋だけ。
「…スイ?」
声をかけてみると、こそこそと話し声がした。
「カンナ来るんだからっ、早くしろって!」
「まーだあの子と続いてるのぉ?馬鹿だなぁスイは」
甘ったるい自分を作ってる声。聞いただけで虫ずが走る。
馬鹿なスイとどっかの知らない"女"は、あたしがいることに気付いてないのかしら。