また、いつか。
──翌々日。
「ハル、準備出来たの?」
「出来てる!!」
私は部屋に置いてある鏡で、自分の姿を見た。
チェックのスカートにポロシャツ。
ニューヨークにいたときの制服に身を包んだ。
「よし、完璧」
階段を急いで降り、玄関に向かった。
「ほら、先にカズくんのお家にご挨拶してから学校行くわよ」
「う、うん」
カズという言葉を聞くと、なんだか心が苦しくなる。
「こんにちは」
斜め前に立つカズの家は、3年経っても全く変わっていなかった。
「もう、あれから2年が経ったのね」
お母さんとカズのお母さんが懐かしながら、カズの慰霊を見ながら話す。
そう、カズは中1の冬休み交通事故で亡くなった。
お兄ちゃんのような存在だったカズが居なくなったことは、私にとって言葉にならないほど悲しかった。
だから、これ以上大切な人を失いたくなかった。