また、いつか。


「毎日、カズに会いに来ていい?」

私は、カズのお母さんに問いかけた。

「いいわよ、その方がカズも喜ぶから」

「ありがとう」

毎日、カズの顔見れば少し安心出来る気がするからだ。

幼いころ、入院して寂しかった時カズの写真を見るだけで寂しさが消えた。

きっと、今もその気持ちは変わらない。

「じゃあ、そろそろ学校行くわよ」

「はーい」

カズのお母さんにお別れをして、電車に乗って新しい学校まで向かった。


お母さん曰(いわ)く、遼東学園高校は各界のお坊ちゃん、お嬢様たちが通っているらしい。

私は、両親の母校という理由で編入学をした。

わがままな子とは、関わりたくないな。

そんなことを考えていると、大きい門が目の前に建っていた。

「日本にもこんなに、大きい学校あったんだね」

「日本にしては、大きいわね。幼稚園から大学院まである学校だからね」

「ふーん」

「ほら、入るわよ」

お母さんに背中を押され、門をくぐり抜けた。

理事長室まで、向かう途中にサッカー部の練習が目に入った。



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