また、いつか。
「ごめんね、今日練習長引いちゃって」
少しぽっちゃりめな女の子が、申し訳なさそうな顔をしながら謝ってきた。
「じゃ、まずは今から自己紹介だな」
昨日、青いユニフォームを来ていた男子の声によって自己紹介が始まった。
「んー、まずお前からだな」
そういって、彼は私を指差した。
「私?」
「そう。名前、血液型、誕生日、部活、家族構成、親の仕事とかだな」
「そんなに!?」
家族構成や親の仕事なんて、別に同級生に知られなくてもいい気がするのに。
「そんなに。うちの学校は、家族構成とか親の仕事スゲー気になる人多いからな。学校、行ったときの練習だよ」
彼は、微笑みながら淡々と話していった。
「分かりました。えっと…
名前は、山口春菜。
誕生日は、5月9日。
血液型は、A型。
部活は、まだ考えてないけど絵を描くのが好きなので、美術部に入りたいです。
家族構成は、父母と中1の弟がいます。
お父さんは、貿易会社に勤めています。
これから、よろしくお願いします」
私は、ぺこっと頭を下げた。
5人によって、拍手に包まれる。
「なんて呼んだらいい?」
「みんな、ハルって呼んでるからハルって呼んでください」
「あんさ、俺らタメだからタメ口でいいから。なんか、敬語だとムズムズするし」
そう坊主の男子が言うと皆が爆笑しはじめた。
「ハハハ…、ムズムズってお前どんな感覚持ってんだよ」
昨日、青いユニフォームを着ていた男子が突っ込む。
「取り合えず、わかったな!?」
「あ、うん!」
私は、笑顔で頷いた。