また、いつか。
───ミーン、ミーン
「今日も蝉、うるさいな〜!!もうちょっと、静かにしてくれてもいいのに!!」
私は、ぶつくさ文句を言いながら私のお気に入りの場所である、ベンチに座りながら中庭にいる人たちを描いていた。
車椅子に乗っている人。
看護婦さん。
お母さんと話している入院中の子供。
私は、毎日この場所で色々な人を描いていた。
「今日は、誰描こうかな〜」
ふと芝生でサッカーをしている同じくらいの男の子たちが目に入った。
「今日は、あの子たち描こう♪」
私は、彼らを見ながら真っ白なスケッチブックに彼らの姿描いていた。
しかし、描いているうちにだんだんとサッカーしている男の子の1人が近づいてきた。
「ボール取って〜」
「ボール…?」
私は、首を傾げながら辺りを見回す。
「あっ!?これ?」
私は、足元に転がってきたボールを取った。
「そう、それ!」
彼は、私に向かって走ってきた。
「はいっ」
ボールを渡すと彼は、微笑んだ。
「サンキュー♪あ!お前、絵上手いな」
彼は、私のスケッチブックを覗きながら話しかけてきた。
「そうかな〜?」
「そうだよ!スゲー上手い」
「ありがとう」
私は、その子に微笑んだ。
自分の絵を褒められると凄くうれしい気持ちになる。