君が落とした青空

家を出たのは結局いつもよりも少し遅い時間。この時間ならもう遅刻になるかもしれない。

急げば間に合うのかもしれないけれど、そんな気力もない。

行きたくなくてこのまま背を向けて学校とは逆方向に走っていきたいくらいだ。


傘をさして、とぼとぼ歩く私を雨が包み込む。

ぴたりと足を止めて、雨の音を聞いた。毎回変わらない雨の音を聞いて足がすくんでしまう。



修弥の顔が何度も何度も目の前にちらつく。

――なんで、あんな表情をしたの?


聞きたいけれど、聞くのは怖い。聞いたところで修弥は何も分からないだろうけれど。


前を見つめると、終わりのない道がずっと続いている。

先に進むはずの道なのに、私にとってはぐるぐると回るだけの道に見える。


――もう、いやだ。


そう思って、くるりと来た道に向かって振り向いた。


逃げ出したかった。





「実結?」

びくん、と体が大きく跳ねる。
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