君が落とした青空

「そーいやお前んとこ、今日だろ小テスト」

「…え?」

「え?ってお前、俺わざわざこないだ言ってやったのに。俺のクラス小テストあったから、お前のクラスも次の授業であるって」


…なにそれ。
そんな話、聞いたっけ?


「お前ほんっと最近人の話きいてねえよなー」

「…ホントに言ったの?」

全然記憶にない。
今日を繰り返してばっかりだから?以前の記憶がない。

いや、昨日の記憶もあんまりないけれど…

「そういや、今日お前帰りに映画いかねえ?」

ぼんやりしている私に、お決まりの台詞を修弥が投げかけてきて思わず体が硬直する。

「――え…」

行きたくない。
本当はもう、一緒に過ごしたくはない。

もう見たくない光景を見せられるだけだから。

「何か用事あるのか?」

だけどちらちらと浮かび上がる昨日の修弥の顔が私に断りの返事を言わせない。

だからといって行くとも言えず。

「どうした?」

何も言わず何も反応が無い私に、修弥が体ごと私に向けて立ち止まった。

何が、と聞く前に修弥の手が伸びてきて、思わず仰け反ってしまう。

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