君が落とした青空



――…今日は特別ついてない気がする。


そんなことを思い肩にもかからない髪の毛をいじりながら窓の外を眺めていた。窓から見えるのは、さらさらと降り注ぐ雨。

今日は朝から雨だし、低血圧だって言うのに昨日の晩ご飯のカレーを朝ご飯に出されてお母さんとケンカするし、小テストがあること忘れてたせいで散々だったし。

些細な事だけど、今日はなんだか調子が出ない。何となく『ついてない』そんな気がする今日。


「実結(みゆ)」


名前を呼ばれて窓ガラスを見ると、そこにはへらへらしながら歩いてくる修弥の姿が映っていた。

短かめの髪の毛はつんつんと、それでも歩く動きでゆらゆらと揺れている。

何がそんなに楽しいんだか。そう言いたくなりそうな顔。バカみたいだ。


「何?」

「なんだよ?不機嫌だな」

あんたの顔を見てるからだ――なんて、言えないけれど。

「今日見たい映画があるんだけど、いかねえ?」

だと思った。

付き合ってもうすぐ二年の私たちのデートの大半は映画デートだ。

「…いいよ」



映画館で無言で二時間見て、終わってファーストフードでご飯食べて、サヨナラ――…そんな同じコースのデートをデートって呼んで良いものなのか悩むけど。


お互いに映画が好きだから仕方ないのかもしれないけど。




< 2 / 203 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop