君が落とした青空
カレーをじっと見て、食欲はないけれど一口含んだ。
一晩寝かせた、といえば聞こえは良いけれど、ただの昨日の残りのカレーだ。
「夢では――食べたっけ?」
良く覚えてないや。
ケンカしてたんだっけ?
覚えてないから――やっぱり夢かな。
そう思いながら半分くらい食べて外を見ると、ぱらぱらと落ちてくる雨が見えた。
まあ、雨の音を聞いて雨の夢を見るなんて、大したことじゃないか。
まだ、ふわふわと浮いているような違和感の残る体。
――夢ならいい。
むしろ、夢であってくれた方が良い。
直前の血だらけの光景を思いだし、夢とは思えないほど鮮明に残る記憶に血の気が引くのを感じた。
――縁起でもない…
今でも思い出せるブレーキ音と、ぶつかった鈍い音。
目を開けない修弥の姿。
赤い、修弥。
やむことのない、雨。