君が落とした青空

遠く離れた場所で私は見るんだ。

傍に近寄ることも出来ない。



修弥の近くには――…



「うん、いいよ」

顔を上げて修弥の方を見て、そう返事をした。

私の返事に、相変わらずにへらへら笑う修弥の顔は、真っ直ぐに見ることが出来なかった。

視線を向けながらも、真っ直ぐに見ることが出来なかった。

自分のずるい、黒い気持ちに気づかれないように。同時に、自分でも気づきたくないから。

「じゃーまたな」

そう言って私の様子に何も気づかないで、同じようにへらへらと笑って教室を出て行った。


何、笑ってるの。
自分の事なのに。

きゅっと強く手を握りしめる。
ぎゅぎゅと音が鳴るんじゃないかと思うくらいに。


爪が手のひらに食い込む痛みを感じたけれど、その痛みに神経を奪われた方がいいと思った。


余計な事を考えないように。

少しでも――…マイナスなことを考えないように。

今の自分に出来ることに全部を集中しなきゃいけない。

何度繰り返されようとも、何度も繰り返さないために。


分かっているのに、どこかで拒否する神経を必死に切らなきゃいけない。
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