pure love
「愛海、待っといたるわ」そう言って私の横にちょこんと座る夏。
「夏…全然ええよ!!帰ったと思ったのに~」私が笑うと夏も笑った。
「愛海一人やったら寂しいやろ?それに夏が愛海の立場やったら愛海は絶対こーやって夏と待っててくれたと思うから」そう言いながら微笑んだ夏。
「夏…ありがとう」私は嬉しくて夏に抱きついた。
「ちょ、く、苦しいー」夏と待っている間二人で恋の話をしながら待っていた。
野球部のグランドからみんなが騒いでいる声が聞こえる。
「なんかうるさいなー」夏が野球部の方を見る。
「はよ言えって」
「おい、亮太~男見せようぜー」亮太がからかわれているみたいだ。
「なんか亮太言われてんな」夏と私はクスクス笑いながら野球部の方を見ていた。
「市川ーーめっーちゃ好きやでー」紛れもなく亮太の声。
「ほんまにめっちゃ好きやからなー」私の顔はきっと真っ赤だろう。
「愛海…聞いてるこっちまで恥ずかしいんやけど…」
「ははは…恥ずかしいね…」
「ヒューヒュー」
「てか亮太はよ行けってー彼女待ってんやろ~」
「ほんまやはよ行けって」向こうから私達に聞こえるように言っているみたいだ。
「夏…」
「ん??」私は夏の方に体を向ける。
「愛海、むっちゃ好きやわ。どうしよ」夏はぷっと吐き出した。
「改めて言うから何かと思いきや…ノロケかよ!!」
「いや、ほんま好きすぎてどーしたらいいか分からんわ」
「知ってるよ。愛海が亮太のことほんまに大好きなこと。見てたら分かる。亮太との時間、大事にしーや」そう言って私の肩をバチんと叩く夏。
亮太…?伝わってた?
愛海がほんまにほんまに大好きやったこと。
きっと亮太が思う以上に亮太のこと、大好きだったよ。