pure love

「ちょっと喋ろうや」亮太はマンションの入り口にある少しの段差に腰かけた。私も続いて腰かけた。そんな一言でも嬉しくて嬉しくて私はなんて幸せなんだろう。

「ほな、もう帰るわ」しばらく話し込んで亮太が立ち上がった。

「うん…」バイバイすることがこんなに寂しいなんて思わなかったよ。

「はい」そう言って手を差し出してきた亮太。

「ん?何?!」
「バイバイはかなしいから握手しよ。これから帰るときはいつも。だから、はい。」そう言ってもっと私の方に近づけてくる亮太。

私は亮太の手を握った。そう言えばこの前遊んでるときに会った時も握手したなぁ。亮太の手はとても温かくて温かくて。

「じゃあまた明日。」
「うん、また明日。」

亮太…私はバイバイするのは嫌だったけどあなたと握手するのは大好きだった。

毎回、毎回日課のように忘れることなく握手して“また明日”って言いあったよね。

バイバイしてもまた会える…分かってることだけどそれでも寂しくて家に帰ったらもう、会いたくなるの。

亮太はどんな風に思ってたのかな。
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